A Tea Space with a Sphere
リアルタイムに地球の自転を感じる空間として、地球儀のまわりに時差2時間ごとの場所のライブ映像を配した作品。これと鏡像的なコンセプトで12台の地球儀を並べた「地球時計」(2Fウェストウォーク)と対をなす展示として設計されている。東京が昼から夜へと移り変わるに従い、地球の自転に呼応するように、地球儀のまわりでゆっくりと「地球の昼と夜」が移ろってゆくのが感じられる。『茶の本』で日本のArt of Lifeを世界に問うた岡倉天心によれば、茶の湯とは茶碗という手のなかの半球体に宇宙を観想する行為である。うつ(空)なる器に森羅万象がうつり、時がうつろう。茶碗のみならず茶室全体がそうした装置として設計され、床の間の花や掛け軸、小道具に至るまですべてが、季節や時代の変化など世界を編集して映し出すメディアとなっている。この二畳の空間は、そうした茶室のコンセプトを現代に蘇らせようとした内田繁氏の茶室とリアルタイム地球儀とのコラボレーションで、この旧くて新しいメディアの設計思想を未来につなげる試みである。
(本展示は2Fウエストウォーク南アトリウムでの12台の地球儀を駆使したインスタレーション「地球時計」とセットの展示企画です。そちらは2月16日からのスタートとなりますが併せてご覧下さい。)
協賛・協力
(株)内田デザイン研究所、(株)ウェザーニューズ、住友化学(株)、日本アジアグループ(株)・国際航業(株)、アズラボ(株)、福田ハジメ、味の素(株)、(株)JVCケンウッド、ソニー企業(株)
Artist Profile
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Shinichi Takemura / Earth Literacy Program(NPO)
竹村眞一/ELP(Earth Literacy Program;NPO)
京都造形芸術大学教授、ELP代表。人類学的視点からITを駆使した地球環境への独自な取組みを進める。「触れる地球」(05年グッドデザイン金賞、13年キッズデザイン最優秀・内閣総理大臣賞)や「100万人のキャンドルナイト」、「Water展」「コメ展」などを企画制作。東京丸の内「触れる地球ミュージアム」2016は3ヶ月で9万人の来場者を集める。2012年以降、国連UNISDRからの委嘱で『国連防災白書』国際版のコンセプトデザインを担当。著書に『地球の目線』『宇宙樹』、坂本龍一氏との対談本『地球を聴く』など。『宇宙樹』は高校の国語の教科書にも採録。