The Earth Clock
宇宙船地球号というコンセプトの生みの親バックミンスター・フラーは、今から半世紀も前に「リアルタイムで世界の状況を表示するデジタル地球儀を国連に設置し、各国代表はそれを囲んで意思決定すべきだ」と提案した。いまやインターネットで世界中がつながり、人工衛星が地球の体調をモニターする時代となっても、私たちはいまだに16世紀の信長の時代のメルカトル地図で思考し、その想像力は地球の現実に拮抗する飛距離を持ち得ていない。これは現代の情報環境デザインの失敗ではないか?時計の文字盤のように並んだ12個の地球儀には、定時の「地球時報」に合わせてリアルタイムの気象情報や、時差2時間毎の世界各地のいまの様子が表示される。時には渡り鳥たちの地球移動、気候変動や自然災害、グローバル化された人間活動や飢餓・水不足などの状況も映し出される。変動する地球と人類がクリエイティブに共進化するための「感性のインフラ」を創成してゆく、ささやかな第一歩をここから踏み出したい。
協賛・協力
(株)内田デザイン研究所、(株)ウェザーニューズ、住友化学(株)、日本アジアグループ(株)・国際航業(株)、アズラボ(株)、福田ハジメ、味の素(株)、(株)JVCケンウッド、ソニー企業(株)
Artist Profile
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Shinichi Takemura / Earth Literacy Program(NPO)
竹村眞一/ELP(Earth Literacy Program;NPO)
京都造形芸術大学教授、ELP代表。人類学的視点からITを駆使した地球環境への独自な取組みを進める。「触れる地球」(05年グッドデザイン金賞、13年キッズデザイン最優秀・内閣総理大臣賞)や「100万人のキャンドルナイト」、「Water展」「コメ展」などを企画制作。東京丸の内「触れる地球ミュージアム」2016は3ヶ月で9万人の来場者を集める。2012年以降、国連UNISDRからの委嘱で『国連防災白書』国際版のコンセプトデザインを担当。著書に『地球の目線』『宇宙樹』、坂本龍一氏との対談本『地球を聴く』など。『宇宙樹』は高校の国語の教科書にも採録。