Morpho Scenery in GYRE
Yoichi Ochiai
我々は風景から物質性を失ってしまう。風景そのものの構成要素は物質であるにもかかわらず、透明な空気と透明な目のレンズを経て網膜に光が結像する頃には、風景そのものは二次元のイメージになってしまう。立体感のない遠景は、その象徴だ。
物質性と映像性の間にアナログの光学装置を挟み込み、運動を持たせる。物質を伴う運動は我々の身体性を喚起し、物質性を感じさせる。イメージの象徴としての遠景を映像的に変形させるアナログな物質装置は、装置を通じて生ずるイメージとそれが物質である矛盾の間に、イメージと物質を、そして、人為と自然の関係性を描き出している。