Furnished Fluid – 家具づけられた流体
脇田 玲
デザイン模型とリアルタイム映像を一体化したこのインスタレーションは、アートとサイエンスの力を用いて、デザインの価値と魅力を再解釈する新しい方法論を提案しています。
3つのモニターの前には、20世紀工業デザインの象徴として、3つの椅子のミニチュアが配置されています。ディスプレイには椅子の周りに流れている空気のシミュレーションが表示されています。
工業デザインは一般に造形美、質感、大量生産可能性により評価されてきました。 一方で、椅子の形状を流体シミュレーションにかけることで、椅子は単に座るための装置ではなく、室内の空気の流れを調律するメディアとしても機能しているのではなかろうか、そのような問いが生まれます。
我々の日常生活には隠れた絶景が多く存在しています。シミュレーションとヴィジュアライゼーションは、それらを捉え、再解釈するための第三の目なのです。
Artist Profile
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Photo: Shunichi Oda
Akira Wakita
脇田 玲
ヴィジュアライゼーションとシミュレーションを用いてこの世界を再解釈するための作品を制作している。並行して、慶應義塾大学SFCやSCI-Arc Tokyo Programにて、国内外の若手のアーティスト、デザイナー、建築家の育成にも従事。これまでに、Ars Electronica Center, WRO Art Center, 文化庁メディア芸術祭, SIGGRAPH、日本科学未来館などで作品を展示。2014年より慶應義塾大学環境情報学部教授。